危険度Sランクの『上町断層』と大阪一安全と言われる『上町台地』
こんにちは、BRAVI不動産の中山です。
本日の不動産の豆知識のコーナーで取り上げますのは、大阪にお住まいされている方なら一度は耳にしたことがある『上町断層』と『上町台地』について。
「地震の時にヤバい地域みたいなことは聞いたことがあるけれど・・・実際どうなんだろう」、「同じ上町という名前が付いているから同じなのではないか?」と思われている方が大半なのではないでしょうか。
そこで本日はわたくし中山が『上町断層』と『上町台地』について深掘りしていきます。
尚、こちらについては諸説ございますので、あくまで参考程度にしていただけますと幸いです。
日本はなぜ地震が多いのか?
我が国日本は世界的に見ても地震が多い地震大国とされております。
地球の表面はプレートという固い岩盤で覆われています。これが日常絶えることなくゆっくりと動いているのですが、日本は北アメリカプレート・ユーラシアプレート・太平洋プレート・フィリピン海プレートの4つのプレートの上に乗っかっている形になっており、また大陸プレートは常に海洋プレートに引きずり込まれているため、そこに歪みが生じやすく、結果地震が多くなっているという訳です。
地震のメカニズム
地震には大きく分けて2つのタイプがあります。
①海溝型地震(プレート境界型)
海溝型地震は陸側のプレートと海側のプレートとの境界である海溝やトラフ付近で発生する地震です。プレートのズレによって引き起こされるとされており、地震の揺れは横揺れになりやすい傾向にあります。また海上を震源とする場合には津波を発生させることも多く報告されております。2011年の東日本大震災は海溝型地震にあたります。
②活断層型地震(内陸型)
それに対し活断層型地震は陸側のプレート内部での断層運動により発生する地震です。海溝型地震に比べ比較的浅いところで岩盤が壊れるため直上の被害は大きくなる傾向にあり、地震の揺れは縦揺れになりやすい傾向にあります。
1995年の阪神淡路大震災や、2016年の熊本地震はこの活断層型地震に当てはまります。
地震の周期としては、「海溝型」が数百年の周期なのに対し、「活断層型」は数千年に一度の周期となっており、ゆえに地震予測が海溝型に比べて難しいとされています。
日本には約2,000もの活断層がある
大地にかかる大きな力によって地層や岩盤が割れ、割れ目に沿ってズレているところを断層と言います。つまり簡単に言うと、断層とは地層や岩盤を切るキズのことです。そのため周辺の岩盤と比べると強度が低く、岩盤にかかる歪みが蓄積すると、そのキズが繰り返しズレることにより地震を引き起こします。内陸の岩盤を切り、このように繰り返し地震を起こしている断層で、地表でその活動のあとが確認できるものが活断層です。
我が国日本ではなんと約2,000もの活断層があるとされています。プレート型の地震と併せてこんなにも活断層があることも地震が多くなっている原因の一つです。
阪神淡路大震災をきっかけに活断層をランク分け
1995年に起こった阪神淡路大震災を教訓に、日本では活断層のランク分けが行われるようになりました。
ランク分けされる基準としては地震発生の切迫度によって分けられており、4つのランクに分類されています。それぞれのランクについて見ていきましょう。
①Sランク:30年以内の地震発生確率が3%以上
【主な活断層】サロベツ断層帯(北海道)、庄内平野東縁断層帯(山形県)、三浦半島断層群(神奈川県)、糸魚川-静岡構造線断層帯(山梨県)、上町断層帯(大阪府)、日奈久断層帯(熊本県)
②Aランク:30年以内の地震発生確率が0.1~3%未満
【主な活断層】十勝平野断層帯(北海道)、深谷断層帯(群馬県)、月岡断層帯(新潟県)、六甲・淡路島断層帯(兵庫県)、岩国-五日市断層帯(広島県)、中央構造線断層帯(徳島県・愛媛県)
③Zランク:30年以内の地震発生確率が0.1%未満
【主な活断層】北上低地西縁断層帯(岩手県)、関谷断層(栃木県)、跡津川断層帯(富山県)、伊勢湾断層帯(愛知県)、長尾断層帯(香川県)、水縄断層帯(福岡県)
④Xランク:地震発生確率が不明(過去の地震のデータが少ないため、確率の評価が困難)
【主な活断層】津軽山地西縁断層帯(青森県)、鴨川低地断層帯(千葉県)、長良川上流断層帯(岐阜県)、三峠・京都西山断層帯(京都府)、菊川断層帯(山口県)、宮古島断層帯(沖縄県)
上町断層とは
上町断層(うえまちだんそう)は生駒断層の分岐断層と考えられており、大阪府の大阪平野を南北に縦断している活断層帯です。大阪府豊中市から大阪市を経て岸和田市まで至っており、全体としての長さは約42kmにも及びます。断層帯の東側が西側に乗り上げる逆断層となっており、この乗り上げによって千里丘陵や上町台地を作ったとされています。
一つの断層ではなく、豊中市から吹田市までは佛念寺山断層(ぶつねんじやまだんそう)、その南の大阪市内の上町断層の本体を経て、さらに南の長居断層(ながいだんそう)、大阪市を南に抜けて和泉市や岸和田市にかけての久米田池断層(くめだいけだんそう)と続きます。この他にもいくつかの断層がありますが、全てを合わせて上町断層帯とも呼ばれます。
前述したとおりこの上町断層は、30年以内の地震発生確率が3%以上という高確率な危険度のSランクの断層として指定されています。
大阪市内では現在の谷町筋の位置がちょうどこの上町断層の真上にあたるとされており、万が一地震が発生した場合は甚大な被害が予想されております。
2007年発表された内閣府の中央防災会議の報告ではマグニチュード7.6を想定し、被害が最も大きい場合、死者数は現在想定されている地震の中では最も高いものとなっております。
とは言っても地震だけは人間の力では防ぎようがないものですので、
・地震時に家具が転倒しないよう、壁や天井に固定する
・寝室にはできるだけ家具を置かないようにする
・家具の転倒時に出入口を塞がないように家具の向きや配置を工夫する
・懐中電灯、スリッパ、ホイッスル、非常食を備えておく
・避難経路や近隣の避難場所を確認しておく
等の準備をしまして、万が一の事態に備えておくことも大切です。
上町台地とは
次も大阪市民の方はよく耳にするワードである上町台地についてです。
上町台地は大阪市内を南北に走る台地で、前述の上町断層の東側に位置します。大和川より北に向かって幅2~3km、長さ12kmに亘って岬状に突出しています。北端には大阪城が築かれており、四天王寺や難波宮、その他にも大正15年建造の大阪府庁や大阪府警など国の主要機関が多く集まるエリアです。
上町台地は大阪がかつて海であった時代から高台であり、台地付近は硬い基盤岩が地表近くまで盛り上がっており、地盤がしっかりしているので大規模な建物が建築しやすかったのではないかと言われています。
実際前述の上町断層と隣接するエリアですが、上町断層が乗り上げた地盤は非常に強固であり、地震に強いエリアであると言われています。
よく上町断層と混同して、上町台地も地震に弱いエリアなのではないかというお声を耳にしますが決してそんなことはなく、むしろ地震に強いエリアであるということが言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
地震大国の日本で生活する以上、地震に対して正しい知識と、万が一に備えて常日頃から準備を怠らないことがとても重要であると思います。
このブログが皆様とって有益な道しるべになれたのであれば幸いです。