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重要事項説明書における水害ハザードマップについて

不動産の豆知識

中山 和樹

筆者 中山 和樹

不動産キャリア11年

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こんにちは、中山です。

さて本日の不動産の豆知識は、重要事項説明時における水防法に基づく水害ハザードマップについてです。
ん、重要事項説明書?水害ハザードマップ?と思われた方も多いかと思いますので、本日は分かりやすく解説して参ります。


重要事項説明書とは


不動産取引では、賃貸借契約時の賃貸借契約書及び売買契約時の売買契約書へ借主及び買主が署名捺印をしていただく前に、宅地建物取引士が取引士証を提示した上で、重要事項説明を行うことが義務付けられています。
重要事項説明を契約締結前に行う理由としては、宅地建物取引は権利関係や取引条件が複雑であるところが多く、一般の借主や買主では宅地建物取引に関する知識が十分ではないため、不測の損害を被る可能性があります。そこで専門的な知識を持つ宅地建物取引士が契約前に重要事項をご説明することで、契約を締結するかどうかの意思決定に影響を及ぼすような事項について、借主及び買主が説明を受けて理解した上で、契約締結の意思決定ができるようにしたものです。


重要事項説明時に水防法に基づく水害ハザードマップの説明が義務化


近年、我が国日本ではゲリラ豪雨や記録的な大雨による水害が非常に増えています。そこで全国知事会が2019年7月に「宅建業者にハザードマップの情報提供義務付け」を要望しました。そうした動きにより、2020年に水害ハザードマップを重要事項説明時に説明することが義務化されました。(2020年7月17日公布、2020年8月28日施行)
これにより取引態様に関わらず(賃貸も売買も)説明が義務化されることとなりました。
重要事項説明時に説明義務となったのは「洪水ハザードマップ」「内水ハザードマップ」「津波・高潮ハザードマップ」の3種類です。






宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方


本説明義務は、売買・交換・貸借の対象である宅地又は建物が水防法(昭和24年法律第193号)に基づき作成された水害(洪水・雨水出水(以下「内水」という。)・高潮)ハザードマップ(以下「水害ハザードマップ」という。)上のどこに所在するかについて消費者に確認せしめるものであり、取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを、洪水・内水・高潮のそれぞれについて提示し、当該宅地又は建物の概ねの位置を示すことにより行うこととする。

本説明義務における水害ハザードマップは、取引の対象となる宅地又は建物が存する市町村が配布する印刷物又は当該市町村のホームページ等に掲載されたものを印刷したものであって、当該市町村のホームページ等を確認し入手可能な最新のものを用いることとする。

当該市町村に照会し、当該市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップの全部又は一部を作成せず、又は印刷物の配布もしくはホームページ等への掲載等をしていないことが確認された場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになる。この場合は、提示すべき水害ハザードマップが存しない旨の説明を行う必要がある。

尚、本説明義務については、水害ハザードマップに記載されている内容の説明まで宅地建物取引業者に義務付けるものではないが、水害ハザードマップが地域の水害リスクと水害時の避難に関する情報を住民等に提供するものであることに鑑み、水害ハザードマップ上に記載された避難所について、併せてその位置を示すことが望ましい。

また、水害ハザードマップに記載された浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮するとともに、水害ハザードマップに記載されている内容については今後変更される可能性があることを補足することが望ましい。




洪水ハザードマップとは


洪水ハザードマップとは、破堤、氾濫等の浸水情報及び非難に関する情報を住民に分かりやすく提供することにより人的被害を防ぐことを目的として作成され、以下の条件を満たすものをいう。

①浸水想定区域が記載されている
 浸水想定区域とは、水防法の規定により国又は都道府県が指定し、市町村に通知した区域に関わる情報をいう。その区域は、洪水防御に関する計画の基本となる降雨により当該河川が氾濫した場合に浸水が想定されている区域を指す。そのため計画の基本となる降雨を超える降雨が発生した場合や支派川の氾濫、高潮、内水による氾濫等が発生した場合には、浸水想定区域に指定されていない区域においても浸水が発生する場合がある。

②避難情報が記載されている
 避難情報とは洪水予報等の伝達方法や避難場所その他洪水時の円滑かつ迅速な非難の確保を図るために必要な事項など、住民が洪水時に避難を行う際に活用する情報をいう。

③市町村長が作成主体となっている
 洪水ハザードマップは洪水時に住民の避難に役立てることを目的とすることから、地域の防災に関する責務を有する市町村長が主体となり、洪水ハザードマップの作製及び公表を行う。尚、水防法第15条第4項では「浸水想定区域をその区域に含む市町村の長は、国土交通省令で定めるところにより、市町村地域防災計画において定められた水防法第15条第1項各号に掲げる事項を住民に通知させるため、これらの事項を記載した印刷物の配布その他の必要な措置を講じなければならない。」とされている。


内水ハザードマップとは


内水ハザードマップは、地域の既往最大級の降雨や他地域での大規模な降雨等の下水道の雨水排水能力を上回る降雨が生じた際に、下水道その他の排水施設の能力不足や河川の水位上昇に伴い当該雨水を排水できない場合に、浸水の発生が想定される区域や実際に浸水が発生した区域の浸水に関する情報、避難場所、洪水予報、避難情報の伝達方法等の避難に関する情報を記載したものであり、住民を円滑に避難・誘導するために機能や内水による浸水に関する住民・行政間の情報共有ツールとしての機能のほか、地下室への止水板・土のうの設置等住民の自助及び共助を促す機能、適正な土地利用を促す機能、平常時からの防災意識の向上を図る機能等を有する。
簡単に言えば、内水とはマンホール等からの逆流である。


津波・高潮ハザードマップとは


津波・高潮ハザードマップとは、津波・高潮による被害が想定される区域とその程度を地図に示し、必要に応じて避難場所・避難経路等の防災関連情報を加えたものであり、住民の避難や施設の必要性の検討などに非常に有効である。
高潮とは、台風などの強い低気圧の来襲により、波が高くなると同時に海面の潮位も上昇することである。




ハザードマップを活用して災害時に備えよう


いかがでしたでしょうか。今回は重要事項説明時における水害ハザードマップについてご紹介致しました。
水害ハザードマップには想定される浸水の深さだけでなく周辺の避難所やいざという時に備えておいた方が良い物なども詳しく記載がございますので、是非新生活を始める上でのお供にしていただければと思います。




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